2021.02.16
沖縄の風習「浜下り(ハマウイ)」って何? 潮干狩りの理由やおすすめスポットを紹介
旧暦の3月3日に沖縄地方や奄美諸島で行われる「浜下り」
沖縄本島では「ハマウイ」や「ハマウリ」と呼ばれています。
沖縄では毎年この日になると、潮干狩りをする人たちが海岸に多く集まるのですが、なぜこの日に潮干狩りをするのでしょう? それにはちゃんとした理由があるんです。
今回は潮干狩りの理由とともに、おすすめスポットや海遊びで気をつけることを紹介します。
目次
浜下り(ハマウイ)の由来
「浜下り」とは、旧暦の3月3日、ひなまつりと同じく女の子の健やかな成長を祈願する沖縄に残る風習の一つです。2021年は4月14日にあたります。
浜下り当日、女性たちは素足で砂浜に下り、海水に手足を浸して身を清めます。そして持ち寄った重箱料理やよもぎ餅、三月菓子を食べながらおしゃべりをし、ピクニックのように楽しむのです。
浜下りに用意する「三月菓子(サングヮチグヮーシ)」とは、サーターアンダギーと良く似た長方形のお菓子のこと。ふくらし粉(ベーキングパウダー)の量がサーターアンダギーよりも少なく、サクッとした食感が特徴的です。「重箱に詰めて持ち運びやすいように」長方形になったとも言われています。
おいしいものを食べながら、おしゃべりに花を咲かせる楽しそうな行事ですが、実はちょっぴり怖い昔話が由来の一つになっています。
それは…
琉球王朝時代、一人の美しい娘の元にとある美青年が夜な夜な訪れるようになります。
初めは断っていた娘も毎日来る青年に徐々に心を許し、やがて娘は青年の子を身ごもってしまいます。
実は、青年の正体はアカマター(ヘビ)だったのです! それに気づいた娘と母がユタへ助けを求めると、「旧暦の3月3日に浜に下りて、白砂を踏んで娘の体を潮水で浸して汚れを落としなさい」と助言を受けました。
母娘はユタの言葉に従い、旧暦の3月3日に浜を下り海に浸かると、娘の身体から7匹のアカマターの子どもが流れ落ち、無事けがれを落とすことができました。
この伝説から女性の健康と厄除けを願い、浜下りが行われるようになったと言われています。
浜下りにおすすめの浜(ビーチ)と周辺のパワースポット
浜下りの日である旧暦の3月3日は、1年でも潮の干満差が大きい大潮にあたります。潮干狩りをするには絶好の日!
昔は女性のみで行われていた浜下りでしたが、今では家族で潮干狩りを楽しむ日として親しまれています。
ここでは浜下りや潮干狩りにおすすめの浜(ビーチ)をご紹介。
沖縄で最大級の干潟を持つ沖縄市の「泡瀬干潟」
大きな干潟にはさまざまな種類の貝類や海の生き物が住んでいる今では貴重な場所です。潮干狩りで見つけた生き物を子どもと一緒に調べてみてはいかがでしょうか?
防波堤沿いに駐車場があるので車でも行きやすいですよ。
また、泡瀬干潟の近くにはパワースポットと呼ばれている「泡瀬ビジュル」があります。
泡瀬ビジュルは旅や無病息災などのご利益をはじめ、特に子宝や安産にご利益があることで有名です。浜下りの前に家族の健康と繁栄をお祈りしに行くのも良いですね。
沖縄県中部・うるま市の「海中道路」
穏やかで遠浅の海が広がる子連れにも優しい浜(ビーチ)です。駐車場やトイレなど設備が整っているのもうれしいポイント。
海中道路付近の勝連地区ではもずくの生産が盛んで、このビーチでもたくさんのもずくを採ることができます。
また、近くには琉球開びゃくの神・アマミチューとシルミチューの伝説が残る浜比嘉島(はまひがじま)があります。二人が住んだとされる岩場やアマミチューの墓など、昔から大切にされている場所もあるので、潮干狩りの前後に訪れてみてはどうでしょう。
那覇空港にも近い、豊見城市にある「瀬長島」
最近ではホテルや商業施設が並び、潮干狩りのイメージがない人もいると思いますが、実は潮干狩りができる穴場スポットなんです。瀬長島に入って左側にある浜では、チンボーラーというサザエに似た小さな巻き貝がよく採れるのだそう。
瀬長島にも「子宝岩」というパワースポットがあります。
子宝岩は上下に2つの穴があいており、男の子が欲しければ上の穴、女の子が欲しければ下の穴に小石を投げ入れて願掛けをするというおもしろい習わしがあり、近隣の住民に親しまれていたそうです。しかし、残念ながら戦争で破壊されてしまったため、再現され今に伝わっています。
その他にも北谷町のハンビー海岸や名護市の屋我地海岸、糸満市の北名城ビーチなどが浜下りや潮干狩りにおすすめのスポットです。
ぜひ近くの浜に三月菓子やお弁当を持って出かけてみてはいかがでしょうか。
浜下りの時期、潮干狩りでは何が採れる?
浜下りでの潮干狩りに向いている浜(ビーチ)を確認したら、あとは何が採れるかですよね。比較的どの浜でも採れやすいものを並べてみました。
・アーサ(あおさ)
・もずく
・あさり
・小さな巻き貝(チンボーラーなど)
・はまぐり
・アバサーなどの魚
アーサやもずくなどは浅瀬にとどまり、波に揺られているので子どもでも簡単に採ることができます。
アサリは砂地に隠れているので、砂の浅い場所を広く掘るのがポイントです。
沖縄でチンボーラーと言われる小さな巻き貝は、岩をひっくり返しながら探すのがコツ。運が良ければ、岩のくぼみに残されたアバサー(ハリセンボン)が見つかることもありますよ。
さまざまな海の生き物が見られる潮干狩りは海の生き物を勉強する絶好の機会です。事典やハンドブックなどを片手に、親子で楽しんでみてはいかがでしょう?
海に入る時に気をつけること
楽しい潮干狩りですが、海には危険がつきもの。安全対策はしっかりしておきましょう。
<基本的な安全対策>
1.ぞうりやサンダルでは行かない
島ぞうりやいつものサンダルで海に入るのは危険。ゴツゴツした岩やトゲを持った生き物から足を守ることができません。滑って怪我をする可能性もあります。
怪我を防ぐためにもマリンブーツは必須。マリンブーツならソールが硬いので貫通の心配もなく、滑りにくい仕様になっているので海の中も安全に歩けます。
2.手袋をつけよう
海の岩は思っているよりも尖っているもの。岩の奥に手を入れることもある潮干狩りでは手袋がある方が安心です。誤って毒を持った生き物を触ってしまった時にも手袋をつけていれば大事に至らずに済む場合が多いです。
3.ライフジャケットの着用
特に小さい子供や泳ぎが苦手な人には着けてほしい装備です。
潮干狩りは潮が引いている時に行うものですが、夢中になっているとあっという間に潮が満ちてきます。
人は20cm~30Cmの深さでも溺れることがあるので、万が一のためにライフジャケットを着用するようにしてください。
少し驚かすようなことを書いてしまいましたが、どれもホームセンターなどで手頃にそろえられるものなので、お気に入りを選んで潮干狩りを楽しみましょう。
暖かくなる時期ではありますが気温はまだまだ不安定。海風も強いので薄手のパーカーがあると重宝します。
また、1日中外にいることになるので日焼け止めもお忘れなく! 日焼け止めは、サンゴに優しい日焼け止めを選ぶことで、海を守ることができますよ。
現代は女性だけでなく、みんなで海を楽しむ日になっています。これからも海の恵に感謝して、家族の健康を願う1日にしていきましょう。
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